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月が綺麗な夜は。

第1章 歪んだ二人
















「………わしはっ…」









歯を食いしばり壁に拳をぶつける。



高杉の気持ちを知った今
この関係を続けるには重たすぎる。



わしは、銀時を愛しているから
いくら罪悪感があっても高杉を選ぶ事は出来ん。



じゃが、終わりを切り出せば
高杉の事じゃ、
プライドも何もかも失えば
銀時を盾に取り何をしでかすか分からん。




勿論、銀時が護られるような男でない事は
百も承知じゃが
銀時に降り掛かる露は少しでも払いたい。






「……ほん…っに、すまん銀時」






自分が愚かで涙が溢れる。


わしのせいでこうなった。
じゃからせめて、
高杉の気持ちに気づいていない振りをして、
奴が飽きるまでこの関係を続けて行くのが
わしが唯一出来る二人への償いでは無いじゃろうか。




肩にくっきりと浮かぶ噛み跡を
指でなぞる。








この跡が消え、また今夜の様な月が綺麗な夜は
高杉、おんしが待つあの場所へ行こう。






「………すまん、
わしにはこうする事しか出来ん…
…わしは最後までおんしに付き合うぜよ…高杉」





ふと小窓に目を遣る。

そこから覗く月は何処か哀しげに
淡い光を放ち、
また銀時を連想する。
響くシャワーの音が
より一層その哀しさを引き立たせ、
その月を見るのが辛くなり
わしは、風呂場を後にする。



これはわしが招いた事。
悪いのはわしじゃ。
だから、これからどんな事があっても
全て受け入れよう。
そう心に決めて。





































-End-
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