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それが、愛なんだね

第1章 それが、愛なんだね

         3

 「はい。
  避難訓練を、
  指導してくれませんか」
 「そうですね。
  それが、
  いいかもしれません」
 そして、皐月は、ほんとに、避難訓練を指導した。
 実施するまでに、打ち合わせで、何度も、彰の塾に来た。
 そのときから、彰は、皐月を、好ましい女性だと思っていた。
 仕事を真剣にするし、子どもたちに話すときには、ほんとにいい笑顔になる。 
 「皐月さん、
  こんど、
  食事でも」
 「食事?」
 「はい」
 「うーん」
 「食事をするのに、
  考えることはないでしょう」
 「あのですね。
  毎日する食事と、
  あなたと一緒にする食事は、
  違います」
 「どうしてですか?」
 「その、
  なんというか、
  違います」
 「私と、食事するときは、
  鼻から食べるんですか?」
 「えっ」
 「違うんでしょう」
 「そういう、
  違いでは、
  ありません」
 そこで、二人とも、噴き出した。

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