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愛のことば

第1章 愛のことば

         10

 「ルビーちゃんが、
  嫉妬しているわ」
 「ルビーちゃんの気持ちが、
  よくわかるんだね」
 「だってぇ」
 ルビーちゃんへのキスは、多彩だった。
 舐める。
 ころがす。
 チロチロと触れる。
 吸う。
 わたしは、
 「ルビーちゃんが、
  喜んでいるわ」
 と言ったけど、言葉になったのは、そこまでだった。
 あとは、のどの奥からの低い声と、弾んでくる息しか出ない。
 またしても、ルビーちゃんへのキスが、きょうのほんとの目的だったのかしら、と思うほど、長くルビーちゃんへのキスが続いた。
 「アイちゃんの涙は、
  いっぱいたまっているだろうね」
 と言いながら、アイちゃんにキスをはじめた。
 キスというより、アイちゃんの涙を吸い取っている。
 涙を吸い取るとき、アイちゃんも吸うので、わたしは、腰を浮かして、足をすこしすぼめるようにして、つま先まで、突っ張るように力を込めた。
 そうすると、気持ちよさが、強まるのだ。
「ダイヤモンドだ。
  いちばんの宝石だ」
 直さんは、そう言いながら、ダイヤちゃんにキスする。
 わたしは、あまりの気持ちよさに、泣きだした。
 鼻をすすりあげ、しくしくと泣く。
 直さんの髪を、梳くように揉むようにしながら、泣きつづけた。

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