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愛のことば

第1章 愛のことば

         17

 「瞳ちゃん。
  イキそうだ」
 「いいよ」
 「いま、
  いま」
 直さんは、わたしを、抱いている腕に、力を込めて、腰と足を突っ張るようにして、いきおいよく迸る。
 わたしは、いや、アイちゃんは、それがよくわかった。わたしに、いや、アイちゃんに、当たってくるのが、わかるのだ。
 わたしは、
 「嬉しい」
 と言って、直さんを、抱きしめた。 
 直さんは、もう動けないみたい。
 わたしも、直さんが、迸ったのが嬉しいので、もう動かなくてもよかった。
 「瞳ちゃん。
  ありがとう」
 「ううん。
  わたしも、
  ずっと、
  気持ちよかったよ」
 「それで、
  大丈夫なんだね」
 「ええ。
  看護師の知識を、
  信じなさい」
 「それは、
  信じているけど…」
 「けど?」
 「あっ、
  瞳ちゃん。
  かたき討ちを、
  してるな」
 「なんのことで、
  ございましょう」
 「あのね」
 「直さん。
  ほんとに、
  大丈夫だから。
  そうでなかったら、
  苦しむのは、
  わたしだから、
  確信がなかったら、
  言わないわ」
 「わかった。
  そのことが心配だったから。
  もう言わない。
  で、
  瞳ちゃんの、
  感想を聞きたい」

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