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愛は、メロディにのって

第1章 愛は、メロディにのって

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 三年生の女の子といっても、抱いたまま歩くのは大変です。
 それを、怪我とわかったらすぐに抱いてあげて、わたしにも的確な指示をして、速足で約500m先にある服部外科まで躊躇なく行ってくれました。
 望さんの、強さと優しさを感じました。
 幸い、なつみちゃんの指の骨は折れておらず、打撲傷と切り傷という診断でした。
 なつみちゃんのお母さんも、わたしに迷惑をかけましたと言い、話のわかる方でした。
 「滝川さん。
  ありがとうございました」
 「いえ。
  なつみちゃん、
  骨が折れていなくて、
  よかったですね」
 「はい。
  わたしだけだったら、
  救急車を呼んでいたと思います。
  ほんとに、ありがとうございました」
 「先生。
  私にお礼をしたいと思っているでしょう?」
 「はい。
  もちろんです」
 「断るのもあれですから、
  そのお礼がわりに、
  一度、食事に付き合ってください」
 「はい。
  そんなことでいいのでしたら」
わたしは、なつみちゃんの怪我というアクシデントがなくても、望さんに親近感を持っていたので、食事は、わたしから誘いたいくらいでした。

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