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愛はあふれる

第1章 愛はあふれる

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 あたしは、優さんに、
 「ありがとうございます」
 と言った。
 「いやいや、
  あの子を、万引き犯にしなくてよかった」
 そして、あたしをじっと見た。
 「優希ちゃんだったね」
 「はい。
  久村さんですよね」
 「私を知っているの」
 「久村さんの塾には行かなかったけど、
  あたしと同じ字の名前というのは、
  知ってたの」
 「そうか。
  私は、
  君のお父さんから、聞いたよ」
 「えっ、
  いつ」
 「いつだったか、
  飲み屋でね」
 「もう、
  おしゃべりめ」
 「うちの美人の娘も、
  あんたと同じ字を書くんだ、
  とね」
 「くそ、
  あのハゲ」
 「父親から美人と言われて、
  怒るの?」
 「美人じゃないもん」
 「とんでもない。
  優希ちゃんは、
  美人だよ」
 「またまた」
 「自分じゃ、
  そう思ってないの?」
 あたしは、なんと言っていいかわからず、赤くなってもじもじしてた。

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