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愛は育つ

第1章 愛は育つ

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 「真澄ちゃん。
  君、
  そんなことを言うなんて、
  大人になったんだね」
 「もち」
 「でも、
  花子さんは、
  君のその言い方では、
  恥ずかしいよ。
  そうでしょう?」
 そのとおりで、わたしは、恥ずかしくて黙っているしかなかった。
 豊先生は、わたしを気遣ってくれたのだろう。
 真澄に帰るように言った。
 「じゃあ、
  先生、
  花子をよろしく」
 「もちろん。
  大切に、
  おもてなしするよ」
 「花子。
  優しくしてもらいなさいね」
 コクッと頷いたけど、わたしは、まだ黙ったままだった。
 豊先生は、わたしにリラックスするように言って、コーヒーを淹れてくれた。
 そして、趣味の話や、真澄と知りあったきっかけなどを話しているうちに、わたしにも、豊先生の優しさがわかってきた。

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