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愛は育つ

第1章 愛は育つ

         6

 それから、何回か先生の家に行ったり、二人で京都の観光名所を訪ねたりして、それこそいろいろな話をした。
 「桜小路さんって、
  お公家さんの家系なの?」
 「そうです」
 「それで、
  花子さんは、
  美人なんだ」
 「そんな…」
 「でも、
  桜小路で、
  花子なんて、
  ぴったりだね」
 「祖母は、
  華子というんですよ」
 「そう。
  桜小路という名前に、
  愛着を持っているんだね」
 「はい。
  誇りというわけではないんですが、
  伝えられたことは、
  大切にしています」
 「たいへんなことも、
  あるでしょうね」
 「はい。
  でも、
  嫌だと思ったことは、
  ありません。
  ただ、
  反発したいなと、
  思うときもあります」
 「それが、
  私に会うことの、
  理由の一つだったのかな」
 「そうかもしれません」

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