テキストサイズ

突然の出逢い ( N×M )

第2章 Yellow Tulip .





叩かれた手を呆然と見つめる。




「見たんだよ…女の子といたところ。」





「あれはその、違うくてっ...」




「何が違うの!?
キスまでしてたじゃん!やっぱ俺じゃだめ...?」





「あれは無理矢理されただけで...
俺はっ!かずくんしかダメなんだよ。」





ぼろぼろ泣く姿がずっと目に映る。




「...っ...」




「泣かないで...。」






触れるか触れないかの力加減でそっと抱き寄せる。




拒否はされなかった。




泣き止むまでの時間。




かずくんは許してくれるのかずっと考えていた。





ようやく泣き止んだとき急に




「観覧車乗ろう。」






と俺の手を引っ張って乗り場まで行く。




「ちょ...ちょっと。」





突然の密閉空間。




怒っているのか悲しんでいるのか
どんな感情なのか分からないかずくんと
向かい合わせで座った。





「何でそっちなの。横に来てよ。」






「あぁ、うん...。」





会話もなく動き出した観覧車。





観覧車からの景色は良いものなのに
全然そう見えない。





「潤くん。」




「何...?」





「さっき俺がみた、キスは本当に無理矢理されただけだよね?」





「うん、そうだよ。」




「じゃあ、本当に俺のこと好き?」




「好き。本当に好き。」





「良かった...。」





やっと見れた笑顔。






やっぱりかずくんには笑っていて欲しい。




肩に手を置かれたと思ったら



ゆっくり近づいて来て



唇に柔らかい感触。






「...消毒ね...///」







観覧車の一番上というベタなシチュエーションでのかずくんと始めてのキス 。






元カノにキスされたことなんて忘れるぐらい
優しく脳内に残るキスだった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ