惰性同棲
第1章 プロローグ
朝、目覚める。朝日晴子25歳。
時計を確認する。夕方の4時。
朝方に眠りについたことを思い出す。
枕元の水を飲んで、タバコに火をつける。
ここは草地カイトの部屋。彼氏なのかセフレなのかよくわからない男の。
タバコを咥えたまま部屋を出てリビングに行く。
「おはよぉ、晴子、お前寝すぎやろ。こっち来て」
灰色のダサいスウェットを着たカイトが、ソファに寝転んで、ソファを占領している。
休み続きで少し伸びた髭に、犯罪者のような目つき、ここは拘置所かなにかかと勘違いしてしまいそう。
私はカイトの足元辺りに座る。
「何見てんの?」
CMの流れているテレビを見る。
「ああ、なんかしょーもない昼ドラ。別に見てない」
カイトがテレビを消す。
「それよりさぁ、昨日借りてきた映画でも見ようや」
頷きながら、いろいろなことを考える。
この部屋に転がり込んできたこと、カイトの仕事のこと。
カイトの父親はどこかの企業の社長で、どういうわけだか知らないが勝手にカイトにもお金が入ってくるらしい。だからこうやって1人の女を養っている。一応、細々とライターなるものをしていたり、知り合いのライブハウスの経営を手伝ったりしているらしいが、まともに働いてはいない。