惰性同棲
第1章 プロローグ
かくいう私も、小遣い稼ぎでスーパーのレジをしているだけだ。あとたまに、知り合いがやっているアパレルの広告のモデルとかなんやらをさせてもらったりもしている。
私たちの出会いは、というと奇妙だった。
私が数合わせで呼ばれたコンパでの出来事だった。
少し期待してその場に行ったものの、女子も男子も好印象爽やか系量産型だらけ。キモい。というのが正直な感想だった。
初めは私も会話に参加して、楽しくやろうとしたが、上っ面の会話に下心丸見えの男、さらには美味しくない料理に耐えかねて端っこで携帯を見ていた私は、タバコを吸いに外に出た。
1人だけ好みの男がいた。
なんちゃらカイトとかいう男で、1人だけスタイルが良くて目つきも悪くて何か感じてしまったのだけれど、実際は爽やか笑顔に上部の会話、もちろん彼に女子は群がるし、嬉しそうでキモいし。
店の外でタバコに火つけて、このまま帰ろうかと思った。カバンも持ってきてしまったから。
何が「晴子さん、お綺麗ですね。」だよ死ね。
なんちゃらカイトの爽やかヴォイスを思い出して悲しくなる。
すると最悪なタイミングでなんちゃらカイトも店から出てきた。