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Fake it

第2章 Yellow love

【智side】

ライブが近いから、5人揃っての仕事が連日続いてる。

今日は冠番組の収録。
女芸人さんがたくさん来てくれてて、気を遣わないで済むからオイラもリラックスして楽しんでた。

ゲームのセットが切り替わるタイミングで、観覧のお客さんのトイレ休憩が入る。

待ちの間、オイラが席についてゲームで使うスマホを見てたら、左側に外から戻って来たニノが座った。

「昨日は疲れて見えたけど
今日は調子が良さそうですね
昨夜はよく眠れた?」

オイラの隣にぴったりとくっついて、顔を覗き込んでくる。

返事をするほどの問いかけでもないな、と思って、ちょっと頷くだけにして。
スマホを開いたまま知らんふりをしていた。

声がからかいを含んだものに変わる。

「満たされた顔しちゃって
昨夜はデートだったんですか?」

こいつは。
よく見てるんだよなぁ…。

オイラはそのままの姿勢で、画面をスクロールしていく。

孝太郎さんからのメールが来てないか気になってるんだけど、自分のスマホはマネージャーに預けてあるし。

今見ているのは、何のことはない 釣 り 具 屋さんのブログ。

「相手もいねーのにデートなわけないだろ
送りで帰ったのは知ってるくせに」

画面を眺めたまま、つとめてサラッと聞こえるように返事をした。

「おや?
例の 身 体 だ け の お付き合いの人は?
まだ続いてるんでしょ?」

来た。

休憩時間とは言え、収録の現場でする話じゃないだろうが。
お前に関係ないだろ。

オイラが黙ったまま無視してると、いかにも心外だと言うように、大げさに溜息を吐く。

「心配してるんですよ
もうその人とは随分と長いでしょ
真剣な交際で俺らにも隠しているんなら
まだ目をつぶりますけど

ARASHIのリーダーともあろう人が
単なる 欲 望 の はけ口にされてるんだとしたら
見過ごせないですから」

わざとらしく大げさに言いながら、オイラの腿に手を乗せて、ぎゅっと力を込めた。

渋々と目を合わせると、瞳の奥に不安が隠れてる。
こいつは、ほんとにアマノジャクでわかりにくい。

皮肉な物言いをするけど、実はいつもオイラを気にかけてくれてて。
昨日もチラチラとオイラを見てたのは気がついてたんだ。

どうやらまた、心配をかけているらしい。

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