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Fake it

第2章 Yellow love

【翔side】

「何かあれば潤君からムロ君経由でお父上へのパイプもあるし、大丈夫だとは思うけど…
でも、どうだろ…
ごめん、わかんない」

ニノは言いながら卓上に頬杖をつくと、手で額の辺りを覆った。

仕方ない。

これがニノ自身のことなら自分の感覚を信じて揺るがないんだろうけど、あの人が絡んでしまうと俺達は案ずるあまりに冷静さを失うことがある。

「翔ちゃんから探り入れてみたら?」

「まさか(笑)」

あの人にとって何者でもない俺が、保護者ぶって個人的なことを訊くわけにはいかないだろ。

「でも教えてくれてありがと
俺も気にかけておくよ

せっかくの酒だし、ニノも飲んで」

注いでやろうかと膝を立てた時、女将さんから声がかかった。
同時に卓の上に置いたスマホがブーブーと振動する。

「櫻井様、お料理をお持ちいたしました
お開けしてもよろしいでしょうか」

「あっ、はいっ」

返事をしながら慌ててスマホの画面を見ると、着信は松潤から。

ニノに目配せして画面を見せてから、電話に出る。

万が一にも会話が漏れるとマズイから、立ち上がって部屋の外へ向かうと、入れ違いに女将さんと店のスタッフさんが入ってきて、鍋の支度を始めた。



「はい」

『ごめん、今いい?』

申し訳なさそうな声が言う。
どこかの店に居るのだろうか、騒がしいと言う程ではないが、背後から音楽が聞こえてる。

「いいよ、どうした?」

『今、大野さんと居るんだけど
偶然同じ店でバッタリ会っちゃって合流したのね
もう大分、出来上がってるから
翔さん、迎えに来れる?』

潤の言い方から緊急事態ではないことが分かったから、思わず頬が緩んだ。

「ふはっ(笑)
あの人、酔っちゃったの?」

『なんか、嬉しいことがあったみたい
やったら機嫌よく酔っぱらってるよ
多分、そろそろ翔さんのこと呼び始めるからさ(笑)』

あら。
それは随分と聞し召して(笑)。

「わかった
そこ、どこ?」

ふにゃふにゃ笑ってるあの人の顔を思い浮かべながら、場所を聞いた。

『ムロ君と孝太郎さんも居るから
悪いけどよろしく』

潤が言って、電話は切れた。










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