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Fake it

第2章 Yellow love

【翔side】

今はまだいい。
でも、40代、50代になった時、あの手この手で引きずり込まれる可能性は、どうしても排除できない。

勿論、そんなものに巻き込まれる気は更々ないが、相手は強大な自己顕示欲を歪んだ志でラッピングしてる連中だし。

俺は、あの人の重荷にはなりたくない。

気持なら受け取ってる。

想いを伝えあってしまったら。
共に生きることを誓いたくなって。

誓いあってしまったなら。
あの人の自由がなくなる。

あの人の翼が、折れるかもしれない。

だから、いいんだ。

あの人には笑っていて欲しい。



「ごめん、翔ちゃん」

ニノが心なし青ざめた顔で言った。

「うん?」

「オレ、そこまで考えが及ばなかったから
孝太郎さんの件、ストップかけなかったよ
失敗したかな…」

口元に運んだ杯が思わず止まった。
黙って話を促すと、ニノはバツが悪そうに続ける。

「あの人に訊かれたんだ
オレの方がドラマで共演してて関係が深いから
自分が孝太郎さんと二人で会うのは遠慮するべきなんだろうけど、って言われて

何かあるの、って訊いたら、ちょっと頼みたいことが出来たって言ってたよ

あの人がメンバー以外に頼みごとをするなんて、滅多にないからさ
気にしないでオレ抜きで付き合って、って返事したんだけど…
マズったかな…」

「ふうん、頼み事ね…」

メンバーや事務所では役に立てない内容なのか?
俺は手酌で注いだ酒を、また飲み干す。
銘柄は「久保田」。

やばいな、これ。
ツルツルと喉を通ってしまう。

「ニノから見て彼はどういう人?」

「腰が低くて穏やかな人だね
家庭環境のせいで苦労したことの方が多いらしいから、
彼から変な方向に流れることはないと思う」

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