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Fake it

第3章 Violet shield 

【潤side】

翔さんとリーダーの間には誰も入れない。

「松ずん、しょおくんは?」

翔さんに電話してから間もなく、案の定、リーダーがいつものセリフを言い始めた。

外で飲んでる時に、一定量を越しちゃうと、この人はいつも同じ言葉を口にする。

翔さんが居れば、ここ、ここ!って自分の隣に座らせるし、居なければ来るまで呼んでる。

まったく。

これで隠してるつもりなんだから、ウチのおじさんチームときたら(笑)。



この間、番組にゲストで来てくれたお礼に、ムロ君を誘って日本酒が美味い店に来ていた。

彼は設営の経験があるから、いろいろ話も聞かせて欲しかったし、連日の打ち合わせで緊張が続いてるから、ちょっと気持ちをほぐしておきたかったんだ。

店についてみたらリーダーと孝太郎さんが居た。

今日、大野さんは振付でスタジオに籠ってたんだけど、午後から都合があるってことは聞いていた。

ちょっと遠出の予定があって、一緒に行ってくれる人にお礼がしたいから例の日本酒の店を教えて、って言われてて。

だから、まぁ、俺も、リーダー居るかな、と半分予想しながら同じ店に行ったんだけど。

どうやら孝太郎さんと一緒に居たらしい。

挨拶だけのつもりで個室を覗いたら、結構大きな部屋で。

ムロ君も居たから、どうせなら一緒に、ってことになって合流した。

大野さんは終始機嫌が良くて、孝太郎さんにも、笑顔で話しかけてる。

「話が決まったら、
孝太郎さんも絶対に来てよ
一緒にボートで釣りしよう!」

なんて、はしゃぎながら喋ってたのは最初の内だけで、そのうち段々ろれつが怪しくなってきて。



「ねぇ、ねぇ、しょおくん、どこ?」







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