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Fake it

第4章 Blue dream

【智side】

炭酸が入った飲料が、ねばつく口の中を流してくれるのが気持ち良い。

「ウチはみんな優しいから」

そう言って笑うニノだって、すごく優しいくせに。

翔君も、松潤も、相葉ちゃんも。

みんな自分のことは後回しにして、ARASHIのことを一番にしてる。

今の自分たちがこうして存在してることが、奇跡みたいなことだってわかってるから。
なによりグループを一番大事にしてる。

なのに、オイラは未練がましく、自分の幸せも欲しかったんだ。

最年長でリーダーのくせに。

もう穴があったら一生そこに隠れていたい。

だから、踊ってる。






「ちょっと、暗いなぁ
なんで下向くのよ」

椅子の上で膝を抱えて、タオルで隠した顔を腕で覆ってたら、ニノがからかう調子で言う。

いつもいつも、ネタにしてるようで、実は慰めてくれてる。

「恥ずかしいんだよ」

「何が?」

「みんな、ARASHIと結婚したようなもんじゃん
自分の人生は二の次で
そんなの当り前と思ってる
誰も惜しいと思ってない
なのにさぁ、
俺はさ…」

失望されるかと思うと、最後まで言えない。

世間一般の男性が得られないような感動を沢山いただいてきた。

だから、人並みの幸せまでもらえるなんて願ったらバチが当たる。

普通に結婚して家庭を持つなんて、そんな贅沢なことは望んだりしない。

だけど。

自分を受け入れてもらえる土地だったり。

決して公にはできない相手を待てる場所だったり。

そういうものを、諦められなかったんだなぁ…。

「…………」

言葉に出来ないから黙ってたら。

ニノはオイラの汗まみれの頭に手を乗せて、ポンポンって。

あやすみたいに弾ませた。


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