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Fake it

第6章 Blue love

【智side】

日々、朝晩の冷え込みを感じるようになって。
正直、一人寝が淋しい。

「ちぇ…」

暖房を入れるにはまだ早いような気もするし、踊り疲れて帰宅した後は、大人しくシャワーを浴びてベッドに入る毎日を過ごしてた。

『今日の気分は?』

って。

訊いてくれるかと思ったけど、5人の仕事の日に会っても、翔君は何も言わなかった。

オイラ、嫌われちゃったのかな…。

ついに飽きられちゃったか。

カーテンを開け放って月明かりを取り込んだ寝室で。
肌触りの良い布団にくるまりながら、翔君のことを想う。

いつかの冬に翔君が、フワモコの布団カバーをプレゼントしてくれて。
それを巻き込んで頬を寄せると、とても幸せな気持ちになるんだ。

でも。

どんな高級な寝具より、翔君が居てくれた方がいい。

『ソファーじゃ疲れが取れないから、
ちゃんとベッドで眠って…
薄着は駄目だよ…』

優しい笑顔と甘い声が思い出される。

「はぁ~……」

う。

溜息が出ちった。

いつかこういう日が来るってことは、覚悟してたはずだろ。
わかってたことなんだから、今更、落ち込んでも仕方ない。

オイラは自分に言い聞かせる。

とにかく、このままツアーには入れないから。
明日会ったらオイラの方から翔君に話しかけよう。

何でもなく。

普通に。

今まで通り。





民宿の件は、先方からの返事待ちの状態になってる。

もし、良い返事をもらえた場合、何て言って断ったらいいのか…。
考えがまとまらなくて気が重いけど…。

引き延ばしても、ユーウツな時間が長くなるだけだ。
やれば、終わる。

明日にでも、こちらから連絡してみよう。

きっと翔君、心配してるから。
例の件は断ったよ、って普通に言おう。





「はぁ……」





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