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Fake it

第6章 Blue love

【智side】

緊張とか不安とかの精神的なものなのか、単に 身 体 の 反応なのかわかんないけど、全身の毛穴が一気に開いて脂汗が噴き出す感じ。

声も出せずに必死に耐えてたオイラに、きっと翔君は途中で気がついたんだと思う。

「智君…?」

心配そうに名前を呼ばれてるのも、最初はわかんなくて。

恐らく翔君は、話しかけてもオイラの反応が悪いから、オイラが全然気持ち良くないって気がついて。
途中で止めてくれたんだ。

苦しいのが急になくなって、後始末?してくれてる時に、やっとオイラは我に返った。

「しょおちゃ…」

「うん、もう終わったよ
眠っていいよ…」

「おわったの?
スッキリした…?」

多分、そんな会話をしたように思う。

オイラは 気 絶 するように眠ってしまったから、ちゃんと憶えてないけど。

腕の中で、夜中に何度か目を覚まして。
そのたびに翔君がごめん、って言いながら、背中を 撫 で て くれたのは憶えてる。

で、現在に至るんだけど。
あれからずっと、行 為 の時、翔君は優しい。

いつも、いつも。
毎回。

あんまり優しくて大切そうに触れてくるから、きっと翔君って女の子にもこうするんだろうなぁ、なんて思ったりするほどで。

余計なことを考えないように、いつも 気 持 ち い い 感 覚 にだけ集中するようにしてた。

そうするとだんだん頭がぼやけて、翔君のこと以外は何もかもどうでもよくなるから。

ああ、好きだなぁ、って。
自分の気持ちだけ感じて。

この人がオイラのものになったらいいのに、って。
たまに思ったりして。

滲む視界の中で、時々、翔君の唇が「アイシテル」って動くからさ。

それが気のせいでも嬉しくて。

オイラもあいしてるよ、って笑いかけてた。

だけど。

こんな関係、何年も続けるものじゃないんだ。

翔君に噂が出るたび、オイラはむしろホッとした。

決して認められないような関係を、いつまでも続けたらいけない。
いつか翔君もオイラに飽きる。

翔君は、真っ当な人だ。
道を踏み外したらいけないんだ。

そう思ったから、絶対に自分からは誘わないと決めてた。

でもね、翔君。

オイラはずっと。

愛してる。








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