Fake it
第8章 ASK
【翔side】
5人の楽屋に入ると、そこに居たのは智君だけだった。
まだ、大分時間が早い。
「おはよ
まだ誰も来てないんだね」
普通に、いつも通り、を意識して言いながら、定位置に荷物を置いた。
「おはよ
オイラちょっと早く来たから…
コーヒー入ってるよ
飲む?」
「あ、うん、自分で」
「いいよ、ついでだから」
立ち上がった智君が、俺を見てはんなりと笑った。
「あ、ありがとう」
二人きりで話すのはあれ以来だけど、俺のこと、もう怒ってないのかな。
せっかくのチャンスだ。
まずは謝らないと。
「智君、この間は」
「翔君、この前のことだけど」
二人の言葉が重なった。
で、二人同時に、相手に譲ろうとして黙ってしまう。
どうぞ、どうぞ。
俺が掌を差し出すと、智君も同時に同じ仕草をして見せた。
じゃぁ、と思って。
「この間は余計なこと言って」
「この前オイラ態度悪くて」
また言葉がかぶる。
「失礼」
どうぞ、どうぞ。
「あ、いや、翔君から」
いやいや、どうぞ、どうぞ、どうぞ。
二人でペコペコと頭を下げながら、譲り合って。
「ぷはっ(笑)」
つい可笑しくなって笑ってしまった。
智君も困った顔でちょっと笑ってた。
「ごめん、なんか可笑しくて」
「あ、うん(笑)」
最近、中々二人きりにはなれなかったし、じっくり顔も見れなかった。
少し痩せたように見えるけど、とりあえず元気そうかな?
大丈夫?
ちゃんと食べてる?
口に出せずに見ていると、智君が二人分のコーヒーを用意してくれる。
テーブルに置いてくれたから、二人でいつもの位置に座った。
「翔君やせたね
しぼってるの?
無理してない?」
「あ、うん
トレーナーさんいるから大丈夫」
そっか、と智君が言って、二人で見つめ合う。
「…………」
「…………」
5人の楽屋に入ると、そこに居たのは智君だけだった。
まだ、大分時間が早い。
「おはよ
まだ誰も来てないんだね」
普通に、いつも通り、を意識して言いながら、定位置に荷物を置いた。
「おはよ
オイラちょっと早く来たから…
コーヒー入ってるよ
飲む?」
「あ、うん、自分で」
「いいよ、ついでだから」
立ち上がった智君が、俺を見てはんなりと笑った。
「あ、ありがとう」
二人きりで話すのはあれ以来だけど、俺のこと、もう怒ってないのかな。
せっかくのチャンスだ。
まずは謝らないと。
「智君、この間は」
「翔君、この前のことだけど」
二人の言葉が重なった。
で、二人同時に、相手に譲ろうとして黙ってしまう。
どうぞ、どうぞ。
俺が掌を差し出すと、智君も同時に同じ仕草をして見せた。
じゃぁ、と思って。
「この間は余計なこと言って」
「この前オイラ態度悪くて」
また言葉がかぶる。
「失礼」
どうぞ、どうぞ。
「あ、いや、翔君から」
いやいや、どうぞ、どうぞ、どうぞ。
二人でペコペコと頭を下げながら、譲り合って。
「ぷはっ(笑)」
つい可笑しくなって笑ってしまった。
智君も困った顔でちょっと笑ってた。
「ごめん、なんか可笑しくて」
「あ、うん(笑)」
最近、中々二人きりにはなれなかったし、じっくり顔も見れなかった。
少し痩せたように見えるけど、とりあえず元気そうかな?
大丈夫?
ちゃんと食べてる?
口に出せずに見ていると、智君が二人分のコーヒーを用意してくれる。
テーブルに置いてくれたから、二人でいつもの位置に座った。
「翔君やせたね
しぼってるの?
無理してない?」
「あ、うん
トレーナーさんいるから大丈夫」
そっか、と智君が言って、二人で見つめ合う。
「…………」
「…………」