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Fake it

第8章 ASK

【翔side】

何から言葉にすれば良いのか。

考えてるところに、相葉君が入って来た。

電話で話しながらドアを開けて、俺達に笑顔で視線を投げて寄越す。

挨拶を返して、何となくまた、俺と智君は黙る。
相葉君の電話に声が入ったら悪いし、二人、話が止まってしまった。

せっかく落ち着いて話せそうな感じだったのに。
結局、肝心なことは中々口に出せない。

なぁなぁにしたら良くないんだけど。
やっぱり二人きりでないと話しにくい。

智君が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、聞くともなしに耳に入ってくる相葉君の電話を聞いてた。






「いや、だからさ、大事なところだと思うよ、今
もう何年付き合ってんの?
ここを逃したらただのお友達っていうか
よくても腐れ縁で終わる流れじゃん
お前がちゃんと言わないからだよ
え?
気持伝えてないからこういうことになってるんでしょ?」

なんだろ、恋愛相談かな。
思わず相葉君を見る。

着てきたジャケットを片手で不器用そうにハンガーに掛けながら、相葉君はこっちを見て俺達二人にごめん、って拝む様なジェスチャーをして見せた。

「お前ねぇ
そういうの単純に面倒くさがってる
ってゆーんだよ
でなかったら、甘えてるだけだと思う
言わなくても伝わってる、って
なんだよそれ

この際だから言わせてもらうけど
お前の思い込みかもしんないじゃん
相手をずっと不安にさせてさ
かわいそうだろ
正々堂々とコイビトです、って出来ないのって
何の理由があんの?」

な、なんか揉めてんな。
次第に相葉君のテンションが上がって来てる。

ハンガーにジャケットを斜めにかけたまま放置すると、相葉君は苛立ってるのがわかる動作で、どっかりと椅子に座った。
珍しい。
大分熱くなってる。





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