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Fake it

第9章 Red love

【智side】

オイラは返事が出来なくて、ただ頷いて見せるだけ。



うん。

ありがとう。



「他の人じゃダメなんだ」



うん。



「一生、貴方と一緒に居たい」



うん。

オイラも。



「今更だけど…俺だけの特別な人になってください
一生、共に過ごして欲しいんだ」



「…………」



頷きたいけど、そうしていいのかな…。

二人だけの問題じゃなくなるし、翔君の方が失うものが多いのに。



そう、頭では思うんだけど。


オイラの心はもう嬉し過ぎて。

我慢しようとしてるのに、とうとう涙が出て来るし。

勝手に腕が動いて翔君の方へのびて行く。

翔君が当たり前みたいにオイラの腕をとって、肩ごと引き寄せた。



「…うっ…っ…」



ぎゅうっ、って抱きしめられる。



「愛してる」



「っ…」



「愛してる」



「…っ…」



「……返事、聞かせてくれないの?」



耳元で翔君が言う。

そんな不安そうな声を出さないで。

『相手をずっと不安にさせてさ
かわいそうだろ』

相葉ちゃんが言ってた言葉を思い出す。

多分オイラだって、ずっと翔君を不安にさせてきた。

ごめんね。

頼りなくてさ。

オイラがもっとしっかりしてたら、良かったんだよね。

翔君をぎゅっと抱きしめて、オイラもようやく言葉にする。

それはかすれて、涙声になってて。

全然気のきいた言葉じゃないんだけど。



「…しょ、くん…っ…
オイラもっ…あいしてっ…っ…」



愛してる。





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