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Fake it

第10章 LOVE

【翔side】

あの後、智君がメイクの前に顔を洗うって言って楽屋を出ようとしたら、ドアの外に3人が固まってて(笑)。

「うわっ」

「あっ」

「リーダー?」

「ごめ、ちょ、トイレ」

4人がごちゃごちゃ慌てた雰囲気だけ、俺は耳にしたんだけど(笑)。

後から聞いたところによると、電話であまりにも相葉君がエキサイトしてたから、その声だけが聞こえてたニノと松潤は、中に入るにも入れなくて様子を見てたんだそうだ。

てっきり俺と智君が相葉君に叱られてると思ったらしく、あいつ直球も大概にしろよ、って2人で焦ってたところに相葉君が出てきて、3人で一体何がどうなってるんだ、ってなってたんだって。

そこに目を真っ赤にした智君が出て来たから、3人ともギョッとして凍りついてたらしい(笑)。

でも、あの人たちの凄いところは、とりあえず口出ししないで見守ってくれるところで。

まぁ、ニノ曰く、智君が嬉しそうに見えたから大丈夫だと思った、って。

後から松潤にも、俺が異様にデレてたから大丈夫だと思った、って言われたし(デレてねーし)。

相葉君は楽屋に戻って来た時にも事態がのみ込めなかったらしく、挙動不審だったけど(笑)。

しばらくしてから何だかニコニコしながら俺の傍に来て、翔ちゃん、リーダーとケンカしてたんでしょ?って。

俺、知ってるからね、みたいに得意気に言ってから、仲直りして良かったね、って無邪気に言われた(まさか、こいつまで気づいてるのか?)。

そんな心配をかけていたとは気づかず、後からそうやって聞かされたから、もう恥ずかしいのなんのって。

二人で何の話をしてたんだ、とか、アンタ達どうなってんの、とか、問い詰められるようなことが全然なかったのが不思議で。

ホントに有難いと思った。

案ずるより産むが易し、って言うけど。

ずっと言いたくても言えなかった言葉を伝えられたことで得られた、物凄い安心感には自分でも驚いた。

俺達はきっと、二人とも。
ああして、尻を蹴飛ばすようにガツンと言ってもらわなければ、いつまでも行動に移せなかったかもしれない。

いつもと同じように見えて、どこか嬉しそうな、恥ずかしそうにしてる智君を今日一日見ていて。

間に合って良かった、と心の底から思った。





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