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俺の男に手を出すな

第3章 ガネーシャ

【智side】

翔君はガネーシャ像の前に置かれた切子のお猪口から自分のグラスへ酒を入れて空にすると、さ、神様も飲みましょう、とか言って、何度も神様にお酌してて。

オイラも調子に乗って、あ、神様、酒が入ってますますイイ男!威厳が増してきました!とか、つい、コントみたいにやっちゃったもんだから。

そんでもって終いには二人でソファで(つまり神様の前で)始めちゃって。

酔って笑い上戸が出てる翔が可愛くて、二人でクスクス笑いながら、さんざんに気持ちの良いことをやりまして。





神様の前でこういうことをやると、どうなるかっていうと…。
どうやら大変に気に入られてしまったみたい。

美味い酒、馬鹿で陽気な笑い、自分の愛を差し出す二人の営み。
結果的にそれらを神様に奉納したことになってしまった。

まぁ、俺的には、全部神様に見られちゃって物凄く恥ずいけど。
喜んでいただけたなら何よりだ。

なんだか、オイラよりも翔君の方が気に入られているみたいだし。


「神様、昨夜はお蔭様で智君と仲良く出来ましたっ!
有難うございますっ!
今日もよろしくお願いしますっ!」


翌朝、翔君は元気よく神様に手を合わせて仕事に行ったんだけど。
一体、何をお願いしてんだろ(笑)。

神仏は丁重にしすぎる位でちょうど良いから、オイラも朝晩きちんと手を合わせて、部屋にインドのお香(臭くないやつ)を焚いたりしてお祀りしていた。


それからの日々は良いこと尽くし。

翔君もオイラもやたらと人から贈り物をいただくし、ラッキーが目白押しだ。

例えばロケでいきなりの取材交渉をしてもOKが出たり。
入手困難の品物が手に入ったり。
台風が来てたのに撮影の時だけ雨が止むとか。
面倒なタイプのプロデューサーが突然異動になったし。
小さなところだと、コンビニでくじを引いたら全部当たりだったとか(笑)。

仕事の現場でも進行が異様にスムーズで、二人とも毎日ビックリするほど帰りが早い。

帰って来るのが早ければ当然時間がある、ってことで、また夜はイチャイチャすることになって。

翔君は神様のご加護だとわかっていないみたいだけど、毎日ご機嫌。
ヨメが機嫌良く過ごしていれば、そりゃぁ、オイラも嬉しい。

でもなぁ…。

一週間もたつと、オイラ、さすがに腰が痛いよ…。

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