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俺の男に手を出すな

第3章 ガネーシャ

【智side】

ガネーシャ像が我が家にやって来てから一週間後。
収録でアリヨシさんと一緒だった翔君が、しょんぼりとして帰宅した。

「さとし~…、神様、返して、って言われた~」

例のごとく、玄関でおかえりの キ ス をして迎えたけど、今日は濃ゆくない。
グレてるというか、スネてるというか、俺に言いつけてる口調で翔君が言った。

「ふぅん、なんで?」

「歯が欠けたんだって」

「は?」

「神様が怒って罰が当たったから、歯が欠けたって」

「なんだ、それ」

取りあえずリビングに移動して、詳しい話を聴いてみると、神様が我が家にやってきた顛末が判明した。





元々、アリヨシさんって方は、オカルトちっくなものはハナから疑って信じないタイプの人らしい。
その割にアンテナが立ってるから、引き寄せちゃうみたいなんだけど。
(彼から見ると、俺の頭の上は光って見えるそうだ。)

だもんで、ガネーシャ像も、入手してから、そんなには大切にしてなくて、置きっぱなしだったそうだ。

それが、最近になって、ある有名な霊能者?から、とても力のある神様の像がお宅にある、芸能界でまた忙しく出来るようになったのも、その神様のご加護だ、って言われたとかで。

そういうことなら、ってことで、願掛けをした。

『神様、自分は一人の女性に縛られるのは嫌だし、誰かの人生の責任を取るつもりは全くないんで結婚するつもりはないんですけど、やっぱりそこは男ですから当然不自由なくやりたい時にやれるのが望ましいわけなので、是非そういう相手を世話してください。贅沢は言いませんが馬鹿は嫌いです。あと、空気読めないのもしつこいのも困ります。金目当ては勿論お断りです。見た目は女優さんで言うと〇〇さんとか、▲▲さんとか、◇◇さんとか……』

と、本人は正直な気持ちを伝えただけだったそうだけど、物凄く注文をつけたんだな。

そしたら翌日から自分がお断りしたタイプの女性にモテまくったそうで。

馬鹿で空気が読めなくて、しつこくて金目当てで、やりたい時にやれず、結婚を迫ってくる相手と関係を持ってしまい、しかも複数の女性だそうで、手に負えなくなった、と。

「で、その霊能者の人に相談したら、
それは神様が怒っているから、
インドにお返しした方が良いって言われたんだって」

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