俺の男に手を出すな
第5章 お狐さま
【智side】
「おい、おまえ何で泣いてる?」
甲高い子供の声が聞こえて。
あれ?
オイラに話しかけてるのかな?って思って。
顔を上げたら、目の前の丁字路の突き当りに、神社があったのね。
赤い鳥居に寄り掛かるようにして、ちっちゃな男の子が立ってた。
お祭りの時にお稚児さんが着る衣装みたいな、白いおっきな袖のついた平安時代っぽい服を着てて。
二重の目が大きくて。
鼻筋に白い色を付けて、目尻を赤くして、お化粧してた。
唇が綺麗な赤で。
色白で。
ああ、そうだ、牛若丸みたいな衣装なんだ。
袴は赤かったけどね。
髪を一つに結んで背中に垂らしてて。
前髪が額の真ん中で分かれてて。
見えてるデコがつるんとしててさ。
男の子なんだけど、すごく可愛いんだよ。
「おまえ、聞こえてるくせに、なんで返事しない?
信仰心がないのか?」
その子は大人みたいな口調で言って。
最近の子供はこれだから、とか。
親の教育がなってない、とか。
ぶつぶつ文句言ってんの(笑)。
オイラ、すっごいビックリした。
だって、尻尾があったんだ。
真っ白で、ふわっふわの、でっかい尻尾。
その子の背丈ぐらいあったんじゃないかな。
文句を言うのに合わせて、ぶん、ぶんって左右に揺れてたんだ。
耳?
耳はなかったなぁ。
隠してたのかな(笑)。
「この神社の神様なの?」
って訊いたらさ。
「質問してるのはオレだよ、人の子」
って、子供の声で言うの。
だから、オイラ、言った。
「仲間外れにされたんだ
みんな、オイラのこと嫌いなんだよ
だから家出したの」
「おい、おまえ何で泣いてる?」
甲高い子供の声が聞こえて。
あれ?
オイラに話しかけてるのかな?って思って。
顔を上げたら、目の前の丁字路の突き当りに、神社があったのね。
赤い鳥居に寄り掛かるようにして、ちっちゃな男の子が立ってた。
お祭りの時にお稚児さんが着る衣装みたいな、白いおっきな袖のついた平安時代っぽい服を着てて。
二重の目が大きくて。
鼻筋に白い色を付けて、目尻を赤くして、お化粧してた。
唇が綺麗な赤で。
色白で。
ああ、そうだ、牛若丸みたいな衣装なんだ。
袴は赤かったけどね。
髪を一つに結んで背中に垂らしてて。
前髪が額の真ん中で分かれてて。
見えてるデコがつるんとしててさ。
男の子なんだけど、すごく可愛いんだよ。
「おまえ、聞こえてるくせに、なんで返事しない?
信仰心がないのか?」
その子は大人みたいな口調で言って。
最近の子供はこれだから、とか。
親の教育がなってない、とか。
ぶつぶつ文句言ってんの(笑)。
オイラ、すっごいビックリした。
だって、尻尾があったんだ。
真っ白で、ふわっふわの、でっかい尻尾。
その子の背丈ぐらいあったんじゃないかな。
文句を言うのに合わせて、ぶん、ぶんって左右に揺れてたんだ。
耳?
耳はなかったなぁ。
隠してたのかな(笑)。
「この神社の神様なの?」
って訊いたらさ。
「質問してるのはオレだよ、人の子」
って、子供の声で言うの。
だから、オイラ、言った。
「仲間外れにされたんだ
みんな、オイラのこと嫌いなんだよ
だから家出したの」