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俺の男に手を出すな

第5章 お狐さま

【智side】

この世に一つしかないものだから、取っておきたかったな、って。
しおりとか、ラミネートとかあるし。
ストラップにしても良かったのに、なんて。

せっかく智君が頑張って探してくれたのに、って。
しょんぼりと言うからさ。

オイラ寒いところまた行くのはヤだぜ、って言ったら。
じゃぁ、2人で行こうよ、って。

ウチのお姫様、乙女なところあるから(笑)。




着いてみたら、翔君の方がすっかり夢中。

オイラの方が先に人数分見つけたから、もう帰ろ、って言ってんだけど。

自分でも見つけたい、ってきかないの。

んで、さっきからオイラは翔君の尻を愛でつつ、翔君に訊かれるままに子供の頃にお狐さまに会った話をしてる、ってわけ。

日頃は神仏の話しって翔君にもあんまりしないんだけどね。

女性はこういう話が好きな人が多いけど、夢物語みたいなもんだし。
逆に本気で聴き過ぎて怖がられてもナンだし。

翔君、別に興味もないだろうと思ってたから、ウチは先祖が巫覡の家系らしい、ってことだけ伝えてて。

相葉ちゃんみたくそっちのアンテナが立ってるわけじゃなくて、普通の人よりちょっとだけ神仏のことに詳しいだけだよ、って昔に言ってたの。

ほら、オイラ達、怖いところに行く番組とかやってたから。

なんで怖くないの?って訊かれてさ。

翔君は別にこだわりもなく受け入れたみたいで。

オイラ達が特別な関係になってからも、オイラが漏らす神仏に関することは聞き流してる感じだったんだけどね。

撮影の時はお狐さまにお願いしたんだよ、って言ったら、珍しく突っ込んでいろいろ訊いてきたからさ。

やっぱ、あれかな、乙女心があるから、実は意外と関心があんのかな。







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