
オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第24章 災難は続く ――
「ホント、ツレナイよなぁ~……この俺がここまで
好意を示してんのに」
「あなたのは好意ではなく、ただのセクハラです」
「お前、シラフだと(ほ)んっと可愛くねぇな。
ま、酒が入っててもかなりの毒舌だったが」
私はつい、あの翌朝の情景を思い浮かべてしまい、
かぁぁぁっと赤面。
「あ、またお前何かヤラシイ事考えてたろ~……
欲求不満なんじゃね?」
「しっ ―― ?*!★(失礼な――ッ)
お話しはそれだけなら失礼させて頂きます」
顔が異様に熱いのは、羞恥からか?
彼へ激昂したからなのか?
何がなんだか自分でも分からなくなり、
踵を返したけど。
彼が私の背後から手を伸ばしドアを手で
押さえてしまったので、開ける事が出来ない!
身長150センチ弱の私とゆうに190センチを
超える長身の彼。
ビルに例えるなら、
超高層のタワマンと貧相な雑居ビル、
くらいの差がある。
だから、私より頭ふたつ分ほど背の高い彼が
至近距離に
(ってか、ほとんど密着状態で)
傍に立つと、必然的に彼は私を見下ろす
恰好になる。
私は早鐘のようにドキドキし始めた鼓動を
彼に勘づかせないよう、ゆっくり彼を見返した。
すると、彼は私の目をじっと覗き込む
ようにして、その顎に手を添えるとやおら
口付けてきた。
