オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第26章 浮かれてる場合じゃないっ!!
タクシーを出ると、五階建てのおしゃれな
デザイナーズマンションがあった。
今度は、彼は手をひかず、私の肩に手を回して、
城の石垣みたいなエントランスへと向かう。
「あ、あの、つい、来ちゃいましたが、
お部屋拝見したら、すぐ帰るので」
各務さんはちょっと不満げな表情になって
私に半眼を向けた。
「いつから、そんな反抗的になった?」
「え、って ―― で、でもそれ……は困ります」
「それ……って何?」
彼はニヤっと笑って質問してきた。
やっぱ、意地が悪いな。
エレベーターに入ると、彼はまたキスをしてきた。
「なんで困るの?」
パンツが……というわけにもいかず。
しばらく悩んだ挙句、寮の門限をダシに
使った。
「こ、港南寮の門限、11時だから」
「へぇ~、そんなの初耳だなぁ~」
そりゃそうだ。
通常の門限は11時だが、年末年始の期間中は
高校3年以上の入寮生のみ午前1時まで
延長される。
「じゃあ、やっぱり今夜は泊まっていけ」
いつになく強引な各務さんに、私再びピンチ。
そうこうしているうちに、
最上階の部屋に連れ込まれた。
ドアを閉めてから彼は言った。