オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第4章 パーティーの夜に
賑やかなのはパーティーをしてる庭と広間だけで、
母屋の裏側に位置する離れのゲストハウスは
シーンと静まり返っている。
廊下を歩く裕と私の足音だけが、妙に大きく響く。
やっぱり今日の裕は、いつもとちょっと様子が違う。
何だか物凄く緊張しているみたいだ。
私だって同じ……妙に、緊張している。
別に初めてなワケでもないのに……。
階段を上って、裕の部屋へと一歩近づくたびに、
心臓がますますどきどきしてくる。
裕の部屋は、いつもよりもかたづいていた。
私が来るのを、見越して珍しく掃除をしたの
かもしれない。
裕がドアを閉めた音が、静まり返った家の中に
響き渡る。
「マジ、いいんだよな……?」
裕がおずおずと私にたずねた。
「うん……」
私は小さく頷いた。
―― ロストヴァージンはつい最近だったけど。
考えてみれば、かなり奥手の方だ。
同級生のほとんどは中2から高1位までに
済ましている。
ま、こればかりは、早く済ませりゃいいって訳では
ないと思うけど……タイミングを逸して、
処女のまま大人になるのも、なんだかなぁと思う。