オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第5章 交錯するそれぞれの思い
玄関先で立ったまま抱き合い、熱烈な口付けを
交わしている初音と橘。
一方の部屋から寝ぼけ眼の母・祥子が出て来て、
ダイニングキッチンで牛乳を飲み
再び自室へ戻ろうとして2人に気が付いた。
「何もそんな処でヤらなくたって……
ま、ごゆっくりどうぞぉ~」
と、自室へ戻って行った。
橘と初音は顔を見合わせ何となく苦笑い、
再びキス。
*** ***
2人が玄関エントランスから出て来ると、
ちょうど斜向いに真新しいベンツが停車中で。
その車内には絢音と裕がいる。
2人はその手狭な車内で抱き合い、
キスを交わし ――、
裕は放っておけばそのまま最後までエスカレート
してしまいそうな感じ。
絢音の方もソレを少しも嫌がっている感はない。
「!!あんのばか ――」
「!千尋さんっ」
橘は玄関先の階段を二段抜かし位で
駆け下り。
いきなりベンツの助手席側のドアを開けて、
車内から絢音を引きずるように出した。
裕も驚いて運転席から降り立った。
「何すんのよっ?!」
「お前との話しは後だ。部屋へ行ってなさい」
と、絢音を玄関の方へ押しやった。
「あ、あの―― お義兄さんで――」
橘、裕の言葉を遮るよう裕の方へ指を
突きつけ。
「絢音はどう触れ込んだか知らんが、まだ高校3年だ。
S**の相手なら他あたってくれ」