オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第5章 交錯するそれぞれの思い
翌日、いつものように登校した私は
昨日のメールでの宣言通り、
菊ちゃんとアキから質問攻めにされた。
「ふぅ~っ……とうとう絢音も、美味しく頂かれちゃい
ましたか」
「う ―― うん」
「しかも相手は野球部の王子様!」
「ん、まぁ、そんなとこです……」
「あっ。わざわざ聞くまでもないと思うけど、もちろん
避妊は大丈夫よね?」
「あ、うん、もちろんよ」
って、とっさに答えちゃったけど、ホント言うと、
買い置きスキンがなくなってしまい、
最後の1回は外で出してもらった。
「学年イチの才女だって、避妊に失敗してデキちゃって
退学じゃ、目も当てられんもんね~」
先月、お隣のクラス・S組の女子が退学になった。
表向きは”自主退学”という事だったが、
理事長始め学校運営陣からの勧告があったのは
間違い。
彼女にとって相手が担任だったって事も
不運ポイントになったと思う。
その担任は彼女と同じく”自主的”という事を
強調され仕事を追われ、この近所に住んでいたけど
”教え子に手を出した淫行教師”というレッテルを
貼られ、逃げるように街から姿を消した。
風のうわさによれば、今彼は東京で日雇い派遣を
しながらその日その日を食い繋いでいるのだそう。
そんな惨めな思いだけは絶対したくない!
だから、予定より6日遅れで月のものがあった時は
本当にホッとした。
あと、1日なかったらマジ、妊娠検査薬買って
来なきゃって考えてたから。