オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第6章 体調不良、それは ――
毎日が勉強漬けのそんなある日 ――、
いつも通りに補習授業で登校しフラリと
眩暈を覚えた絢音は、菊栄に支えられて
保健室へと運ばれた。
養護の教諭に疲れによる貧血ではないか?
と言われ、今の時期は多かれ少なかれ
どこか体の不調を訴える生徒が多いから、
体調管理には十分気を付けるようにと
指示を受ける。
そのままベッドで休んで行くように言われ
横になった絢音は、保健室の白い天井を見上げ
ハタと思いつく。
―――― 生理が、来てない。
ドクン、と心臓が脈を打つ。
高校受験の時もそうだったから、特には
気にしていなかった。
何か強いストレスがあると、生理不順に
なる事がままあった。
けれど……、それにしても遅れている。
7月も半ばを過ぎた頃から自覚していた
気分の悪さには、波があるものの
あれからずっと続いていたし体重も落ちていた。
体のだるさは、日々ある。
まさか……
ぐるぐると頭の中が混乱する。
関節が白くなるほど握りしめた手が、震えた。