テキストサイズ

オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第7章 露呈、そして話し合いの席で ――


 数日後 ――
 
 今回の事を話し合う為、
 私の両親・今まで保護者代理をしてた千尋義兄さん・
 初音姉ちゃん、そして裕とそのご両親がうちの
 応接間に顔を揃えた。
 
 
 双方ともご近所なので、もちろん顔見知りだ。

 2組の家族の間には、重々しい空気が流れている。


 裕は ”嫌々やって来た”という感じが
 ありありと分かる。
 
 私と目を合わせようとはしない。

 まるで私に秘密をバラされるのを怖れている
 みたいだ。


「私共の愚息がお宅の大事なお嬢さんを
 妊娠させてしまい、お詫びの言葉も御座いません」


 裕のお母さんが、私の両親に頭を下げている。


「まったくだ」


 うちの父は不機嫌そうに、ひと言そう言っただけ。


 母さんはどう言葉を返せばいいのか分からない
 様子だ。


「本当に申し訳ありません。
 どうお詫びしたらいいものか……」

「お宅の息子さんには、
 しっかり再教育して頂きたいですな。
 高校生でこんな事になるとは」

「はい。本当に申し訳ありません。
 息子も十分反省しております。
 ほらっ、あんたもお詫びしなさい」


 裕お母さんは、彼の頭を床の上に押し付けた。

 でも、お父さんの方は、
 うちの父同様ずっと憮然とした表情を崩さない。
 
  
「すみません……」


 裕の口から、弱々しく言葉がもれた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ