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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第11章 餌に釣られて焼き肉デート


「―― ほら、食え」

「い……いた、だきます」

「どうぞ」


 ひと口食べて、私は唸った! 


「うわっ、めっちゃおいし!」


 こんなお肉、食べた事ない! さすが高級店!
  

「だろ? 店長お勧めだからな」
 
 
 ダサみが笑いながら肉を焼いてくれる。

 さっきの人は店長だったんだ……でも、普通店長が
 挨拶しに来るのか? ただの常連客に??

 疑問を感じながら、肉を食っている私に、
 ダサみがグラスを掲げた。


「遅ればせながら、今回も学内模試主席おめでとう」

「あ ―― ありがと」


 ソフトドリンク同士のグラスがカチリと
 合わさって、乾杯。
  
  
「ってか、ただの非常勤講師のくせして、どうして
 そんな事まで知ってるの?」
 
「だから、それは世を忍ぶの姿だって言ったハズだが」

「……あんたってマジ、掴みどころないね」

「うん。よく、そう言われる」

「―― あー、そうだぁ……あんたについて、1つ2つ
 とっても興味深い噂聞いた事があるんやけど」
 
「??……」

「現学長の隠し子で、次期学長の最有力候補
 なんですって?」
 
「謎は謎のままの方が、探求する楽しみもある」

「つまり、ノーコメント?」

「あぁ、とりあえず今はそうしておこう」     


 上ヒレ・上カルビ・とうがらし(赤身の希少部位)
 ミスジ・シャトーブリアン等など ――、
 一見(いちげん)客じゃまず食べられないような
 メニューの数々をたらふく食べ。
  
 この店オリジナルのスペシャル冷麺と
 スウィーツ盛り合わせで締めた。
  
 う~ん、満腹 満腹……。

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