
オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第11章 餌に釣られて焼き肉デート
マジ、あの男何者??
非常勤講師って、そんな高収入だったっけ?
アメックスブラックカード持ってた。
という事は、あのベンツもあいつの車?
私の家まで送ると言った……まさか、送り狼って事
はないだろうけど、あの若さでブラックカード?
怪しすぎる!
あぁいうのには関わらない方がいい!!
”君子、危うきに近寄らず”
でも……新しく決まったバイト先も、
アパートが田町だって事もバレている……
やばいなぁ……本意ではないけど、何か護身具でも
身に着けようか?
とにかく早く駅に着こう!
早く構内に入らないと、何か嫌な予感がする……。
私は駆け足で駅に向かった。
角を曲がると、駅が見えた!
あぁ、後もう少しだ!あと ――
突然、私の行く手を阻むように黒い車が歩道に
乗り上げた!
メタリックブラックのベンツ? まさか……
あ ―― やっぱりダサみ!
あ、降りてきた! 追いかけてきたの??
何か無表情。
食事代でも請求に来たのかな?
なら、なけなしのへそくりで払うしかない!
少し後退さった私の前にダサみが立ち、
溜息をついて笑った。
「俺はよほどキミに警戒されているみたいだな」
「はい」
ダサみは突然私の腕を掴んで歩き出した!
「ちょっと! いきなり何よ?! 放してっ!」
必死で抵抗するけど、力じゃ男に敵わない!!
「おとなしく乗れ」
強い口調で言いながら運転席側の後部座席のドアを
開けて無理矢理、私を押し込んだ!
