オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第13章 湘南台の悪魔
「え~~っ、マジでぇ??」
「ちっくしょうっ! 教頭の奴ぅ。いつまで俺らの事
目の敵にしてんだよっ」
「……あ、そう言えば先生、私、前から1度
聞きたい事あったんですけど」
「な、何だよ」
「試していーい?」
「は?」
竜二がそう問い返すやいなや、
絢音は竜二に何かの技を仕掛けたが
反対に目にも留まらぬ返し技で尻もちを
つかされた。
絢音がやり込められる姿など、
初めて見た三兄弟は唖然・呆然。
急に技を仕掛けられた竜二も同じような顔つきだ。
「何だよ、お前いきなり……」
「やっぱり」
「え?」
「あ、絢音さん、大丈夫っすか?!」
「うん、大丈夫 ―― ふふふ……オッケー、
あんたの頼みなら聞くよ、りゅうじセンセ」
「は?」
「で、どうすればいい?」
「えっ ―― じゃあ、もう皆んな、真っ直ぐ自宅へ
帰れ」
「よっしゃー、じゃあ、解散!」
「「ええ~~っっ!?」」
「ちょっ、どうしてですか? 絢音さん」
「どうしてでもよ ―― じゃ、またねセンセ。
行こ柾也」
「おう」
絢音は柾也と共に立ち去って行く。
一体、あれの何処が悪魔なんだ?
聞き分けのいい、ごく普通の生徒じゃねぇか。