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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第13章 湘南台の悪魔

「それはいやみ?」


 歯をわざと食いしばりながら言う利沙に笑う。


「うんにゃ、経験者」

「たくもぉぉっ!」

「そうゆう利沙かて、家継ぐんでしょ~?」


 ”昭和のホテル王”と名を轟かせた、森下庄之助は
 利沙の曽祖父で。

 その観光事業を一気に拡張し、
 ホテル ”エスポワール・**”  
 (”――・**”の部分には各国の都市名が入る。
   例えば ホテル・エスポワール・ホノルル、)

 世界屈指のホテルグループに成長させたのが、
 利沙のお母さんだ。

 締切に追いまくられ、年中悲鳴をあげてる
 人気作家の我が母と利沙のお母さんは、
 私と利沙同様物心がついた頃からの幼なじみ
 だったりする。


「ん~、まぁね」

「なんだかなぁ~、その締りのない答えは」

「母さんが言うには、私が創業者一族の1人娘
 だからってだけの理由で会社は渡せないって。
 それなりの安定が欲しいなら、まずは地道に
 下積みから始めなさいって」
 
「ふ~ん、なるほどねぇ……」

「もう、こうなったら、カウントダウンは思いっきり
 楽しもうね? 社会に出たら遊んでるヒマなんか
 当分の間ありそうにないから」
 
「うん、そうだね」 

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