オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第15章 教頭達のセコい悪だくみ
港南台高校、職員室 ――。
「かがみ先生~っ。どうなんですぅ? その後、
普通科のロクデナシ共は」
「ロクデナシ、と、申しますと?」
「あの悪タレ、和泉達に決まってるでしょっ」
「あ、あぁ……ハナシだけはしましたけど、皆んな
普通にいい子達ばかりじゃないですか」
「普通?? 何処がですか?!」
「特に悪い事はしてませんし」
「してるじゃないですかっ! 喧嘩もサボりも
万引きもっ、イジメと強請(ゆす)りまで!」
(万引きにイジメに強請《ゆす》り??
いつの間にか増やされてるよ……)
「いや、それ、もしうちの生徒がやってるのだ
としたら、犯人は別の奴ですよきっと」
「何を根拠にそんな事言ってるんですか。
証拠はあるんですか? 証拠は」
「あ、いや、それは、ないですけど……」
「あいつらが、一体どんな言い訳をしたんだか
分かりませんがね、それをそのまま鵜呑みにして
どうするんです?? 全く! いっそ退学にでも
なるような事をしてくれりゃあいいものを……
それもしない」
「あいつら悪知恵だけは良く働きますからねぇ……
各務先生? あなたに手を上げるなとは
言いましたけど、あなたが巻き込まれるのは一向に
構いませんから。
押さえるべきは、現場の証拠ですよ~」
ムカッ、
(あぁ。そーゆう事かい……!)
何となく読めたよ。
あんたらのセコい思惑がっ。