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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第17章 セカンドキッス


  Love is blind 《ラブ・イズ・ブラインド》 ―― 

 恋は盲目 ―― とは、良く言ったものだ。


 恋に落ちると、理性や常識も失ってしまう。
 と、いう事らしいが、まさかそれを三十路過ぎて、
 この身を持って知る事になろうとは……。


 明かりを落としたホテルのベッドの上で、
 各務はヘッドレストへゆったりもたれかかるような
 スタイルで横たわっている。

 1人なのか? と、思いきや ―― 
 各務の下半身部分のブランケットの膨らみが
 モコモコと動いて、目鼻立ちのはっきりとした
 美人系の若い男・楓がその中から顔を出した。


「もーうっ、八木さんもマオちゃんも言ってたけど、
 最近のリュウちゃんってばホントに変っ」

「…………」


 楓は「ちょっと、聞いてるの?!」と言いながら、
 各務の耳をつねった。


「いてててて――っ、聞いてるってば!」

「嘘ばっか」

「……そーいや、お前もまだ高校生だったっけ」

「はぁ? どーしたのよ、藪から棒に」 

「あ、イヤ、忘れてくれ、何でもない」

「ふ~ん……どうやら今回は、2丁目の連中の噂話しも
 あながち噂だけじゃないみたいね」

「あ? うわさ??」


 「あーぁ、何だかシラケちゃったぁ」と、全裸のまま
 ベッドから出て片隅のソファーの上にある自分の
 洋服を身につける楓。


「お、おい、今夜は泊まってくんじゃなかったか?」

「よく言うわよ、肝心のジュニアがうんともすんとも
 しないんじゃ、泊まる意味ないでしょ」

「…………」

「片思いのお姫様に早く思いが通じるよう、
 祈ってるわ」


 と、出て行った。   

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