オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第19章 仔羊、危機一髪!
「え? いえ、結構です」
「遠慮はいらないよ?」
げっ。ちょちょちょ……ちょっと!
冗談やめて。
「や、いや。ホントに結構ですから」
歩き出そうとしたら、手首を掴まれた。
「?!」
「そんなこと言わないでさ。オレら、絢音ちゃん
街で見かけた時から、ずっと可愛いって思ってたん
だよねー」
「離してっ!」
き ―― 気持ち悪っ!
掴まれた手首を振りほどこうとするのに、
強く掴まれて、離せない。
「離してください! 大声出しますよ」
「じゃ、俺は絢ちゃんの可愛い唇をあつ~いキッスで
塞いじゃおーかなぁ。デヘヘ ――」
マジ、気持ち、わ・る・いっ!!
最初から喧嘩になると身構えた時と違って、
今の私は完全に油断しおまけにいつもの
冷静さを大きく欠いていた。
「早いとこそこいらの空き教室に連れ込んで
味見させて貰お-ぜ?」
「おぉ、そうだな」
冗談じゃないっ!!
あんたらに弄ばれるくらいなら、
一生男断ちした方がなんぼかマシだわ。