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SO短編集

第2章 月光

【智side】

翔君の顔が近づいてきて、恭しく 唇 が 重なった。

躰 が 自由にならない。

離れた顔が辛そうにオイラを見つめる。

「智君、大丈夫だからね…
少しだけ、眠ってて…」

それが翔君の望みなの?

「ごめんね…」

オイラの目から涙が零れたのを見て、翔君が泣きそうな顔をする。

翔君、って呼びたいのに、言葉一つ発することも出来ない。

「愛してる…」

抱きしめられて、頭をそっと撫でられて。

オイラは観念して、もう一人の自分に全てを明け渡した。

良く晴れた満月の晩。

月光の中で、行われる儀式。

オイラはもう一人の自分になる。








FIN.

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