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SO短編集

第1章 Password

【智side】

「智君?」


ん、誰かオイラに触ってる。
いい匂い。
オイラの好きな人の匂い。
前髪を、そっと流してくれる。
この手、知ってる。

「智?」

あったかい。
息が、頬にかかる。
さとし、って、呼んでる。

しゃがんで、オイラの顔をのぞき込む気配。
オイラよりも、少し高い体温が、サーモグラフィーを赤く染める。


「ん…起きるから、キスして…」

周りに聞こえないように、小さい声でおねだりしたら。
ふふっ、って笑った息遣いがした。

「智君?ここ、楽屋だよ?」

きっと周りを見回してる。
オイラは、思わずイラッとしてしまう。
だって、この人には、イラッとしても大丈夫だから。
知ってるもん。

「ぅも~…ぱすわーど……早く…」

「寝ぼけてるな、これは」

顔が近づいてくる気配がしたから、唇を突き出してやった。

「っン、こら!起きてるじゃん」


へへへ~、今起きたんだよ。

嬉しくて、フニャッと笑いかけたら。
翔君からも、キスをくれた。

ぱすわーど ヲ あくせぷと シマシタ。




FIN.

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