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夜の影

第15章 孤高の人

【某国某氏】



「あっ、いやっ、ああっ、あああっ」



スイートへ近づくと、先発したエレベーターで先に到着していたマツオカが、ドアを開けたところだった。

アキラの 悲 鳴 が聞こえてくる。

「アキラッ!!」

思わず叫んでしまって走り出そうとした私を、ヒガシヤマが押しのけて、先に部屋へ入る。



「いやぁっ!!」



アキラの叫び声がして、逆光の中でマツオカがニノミヤを殴りつけたのが見えた。

ギャッ、とニノミヤの声が上がって、倒れる。

マツオカが無言のまま、繰り返し彼に蹴りを入れていく。

その度に、聞き苦しいうめき声が上がった。

下 半 身 を 丸 出 し にして 腰 を 振るニノミヤの後姿だけで、彼がアキラに何をしていたのかはすぐわかったが。

手足を 縛 ら れ て ぐったりとカウチに上半身を預けているアキラの姿に、無 理 強 い の 行 為 が いかに酷いものだったのかを知らされる。

私は言葉を失ってしまった。

ヒガシヤマがアキラに駆け寄り、体 液 で汚れたその 躰 を、躊躇なく 抱 き 起す。



「…どうしてお前が」



ヒガシヤマの声が呆然としているように聞こえた。

珍しいことだと思う。

この男が、アキラ達に対してこんなにも情を持っているとは思わなかった。

この後のペナルティを思うと、血の気が引いてくる。

金で済むことならなんとでもなるが、ビジネス上の利権を制限されるのはまずい。

「マツオカ、どういうことだ」

ヒガシヤマの声がその怒りを表すように、一際冷たく響いた。







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