夜の影
第17章 Daylight
【翔side】
拍手が全く起こらないことを予想していたかのように、社長の挨拶の後、すぐにまたピアノの自動演奏が始まった。
フロアに立って話を聞いていた参加者が、それぞれに番号のついた場所へ向かって歩いて行く。
つられて俺も、2番のスペースへ行って、ソファに腰を下ろした。
アキラ、か。
俺が何で呼ばれたのか、わからないけど。
他に道もなく、一大決心をして事務所を訪れたのは、俺も同じだったから。
スピーチの内容は、何となくわかるような気がした。
社長の話を聞いて、サトシが何故この仕事を始めて、これまでどんな風に続けてきたのか。
どんな思いを味わって来たのかを、前よりも少しだけリアルに想像できるようになったと思う。
だって、サトシは優しかった。
見ず知らずの、仕事で仕方なく関わっただけの俺にも、優しかった。
元々そういう性格なのか、それとも、そういう風に変わって行ったのかはわからない。
虚しい、って言ってたのに。
それでも、他人に優しく出来るのが、サトシなんだ。
なんだか、ちょっと泣きそうになった。
「サト兄、あの人、スケッチブックの人でしょ?」
隣のスペースから、声がした。
聞き覚えがある声だ。
俺はなるべく頭を動かさないように気をつけながら、視線だけを隣に向ける。
腰の高さにしつらえられた目隠しのBOXの上部には、蔓を上に向けた背の高いポトスの鉢がずらっと並んでいて。
葉の隙間から、何となく人影が見える。
「え?聞こえないよ
あ、そっか、ヘッドホン」
言った人物が、頭に手をやって帽子を脱ぐようなしぐさをしたのがわかった。
隣に座ってる人が、シーッと言うのが聞こえる。
「ねぇ、
あの人、ショウって言うんでしょ?
オレ、知ってるもん
スケッチブックにSHOってかいてあった
絵にそっくりだね」
二宮君だ。
じゃぁ、一緒に居るのは…。
サトシ…?
拍手が全く起こらないことを予想していたかのように、社長の挨拶の後、すぐにまたピアノの自動演奏が始まった。
フロアに立って話を聞いていた参加者が、それぞれに番号のついた場所へ向かって歩いて行く。
つられて俺も、2番のスペースへ行って、ソファに腰を下ろした。
アキラ、か。
俺が何で呼ばれたのか、わからないけど。
他に道もなく、一大決心をして事務所を訪れたのは、俺も同じだったから。
スピーチの内容は、何となくわかるような気がした。
社長の話を聞いて、サトシが何故この仕事を始めて、これまでどんな風に続けてきたのか。
どんな思いを味わって来たのかを、前よりも少しだけリアルに想像できるようになったと思う。
だって、サトシは優しかった。
見ず知らずの、仕事で仕方なく関わっただけの俺にも、優しかった。
元々そういう性格なのか、それとも、そういう風に変わって行ったのかはわからない。
虚しい、って言ってたのに。
それでも、他人に優しく出来るのが、サトシなんだ。
なんだか、ちょっと泣きそうになった。
「サト兄、あの人、スケッチブックの人でしょ?」
隣のスペースから、声がした。
聞き覚えがある声だ。
俺はなるべく頭を動かさないように気をつけながら、視線だけを隣に向ける。
腰の高さにしつらえられた目隠しのBOXの上部には、蔓を上に向けた背の高いポトスの鉢がずらっと並んでいて。
葉の隙間から、何となく人影が見える。
「え?聞こえないよ
あ、そっか、ヘッドホン」
言った人物が、頭に手をやって帽子を脱ぐようなしぐさをしたのがわかった。
隣に座ってる人が、シーッと言うのが聞こえる。
「ねぇ、
あの人、ショウって言うんでしょ?
オレ、知ってるもん
スケッチブックにSHOってかいてあった
絵にそっくりだね」
二宮君だ。
じゃぁ、一緒に居るのは…。
サトシ…?