夜の影
第18章 Song for me
【智side】
マツオカさんの挨拶を聞いて、一気にいろんな想いが蘇ってきた。
それは、ずっと、自分の中で蓋をしてきたもの。
愛が何かも知らないうちから、男のくせに、男 に 抱 か れ て。
多分俺は、もう、まともな恋愛は出来ない。
そう、気がついた時には、躰 は すっかり馴らされていた。
ああ、これは、もう戻れないな、って。
ある日、突然、虚ろな自分に気がついた。
不意にストンとやってきた理解に呆然とした、あの気持ち。
アイツのことが好きで。
どうにかして、俺を見て欲しくて。
もういっそ、この気持ちに殉じよう、って。
誰かのものになる筈もない孤高の人を、終いには恨んで。
あがいた末に、手に入らないと諦めたこと。
天 涯 孤 独 と言ってもいい身の上で、沢山の人と繋がりながら、結局、何も生まれない。
こんなことは何でもない、と自分に言い聞かせて。
笑って。
何も考えていない素振りで、もう全部、欲しがるのをやめた。
本当は思ってたんだ。
心だけでいいのに、って。
心だけでいいから。
想いだけ欲しい。
そう、物 乞 い みたいに、思ってた。
ずっと、子供の時から、蓋をしてきた気持ち。
『この世の中に、誰か、オイラのこと、本当に愛してくれる人はいるの?』
背後にいるショウが俺たちに気づいて、立ち上がった。
こっちへやってくる気配を背中で聞く。
とうに別れは済ませたつもりだった。
今更、どんな顔で会えばいい?
自分に何の価値もないってことは、俺自身が一番わかってる。
冗談にして、軽く流して。
じゃぁな、って言えばいいんだ。
簡単なことだ。
「サトシ…?」
入口に立った人影から声がした。
俺を呼ぶ、その声の響き。
ああ、もう、頼むよ。
勘弁してくれ。
俺は胡坐をかいたままで、ショウのいる左側から、わずかに顔を背けた。
マツオカさんの挨拶を聞いて、一気にいろんな想いが蘇ってきた。
それは、ずっと、自分の中で蓋をしてきたもの。
愛が何かも知らないうちから、男のくせに、男 に 抱 か れ て。
多分俺は、もう、まともな恋愛は出来ない。
そう、気がついた時には、躰 は すっかり馴らされていた。
ああ、これは、もう戻れないな、って。
ある日、突然、虚ろな自分に気がついた。
不意にストンとやってきた理解に呆然とした、あの気持ち。
アイツのことが好きで。
どうにかして、俺を見て欲しくて。
もういっそ、この気持ちに殉じよう、って。
誰かのものになる筈もない孤高の人を、終いには恨んで。
あがいた末に、手に入らないと諦めたこと。
天 涯 孤 独 と言ってもいい身の上で、沢山の人と繋がりながら、結局、何も生まれない。
こんなことは何でもない、と自分に言い聞かせて。
笑って。
何も考えていない素振りで、もう全部、欲しがるのをやめた。
本当は思ってたんだ。
心だけでいいのに、って。
心だけでいいから。
想いだけ欲しい。
そう、物 乞 い みたいに、思ってた。
ずっと、子供の時から、蓋をしてきた気持ち。
『この世の中に、誰か、オイラのこと、本当に愛してくれる人はいるの?』
背後にいるショウが俺たちに気づいて、立ち上がった。
こっちへやってくる気配を背中で聞く。
とうに別れは済ませたつもりだった。
今更、どんな顔で会えばいい?
自分に何の価値もないってことは、俺自身が一番わかってる。
冗談にして、軽く流して。
じゃぁな、って言えばいいんだ。
簡単なことだ。
「サトシ…?」
入口に立った人影から声がした。
俺を呼ぶ、その声の響き。
ああ、もう、頼むよ。
勘弁してくれ。
俺は胡坐をかいたままで、ショウのいる左側から、わずかに顔を背けた。