夜の影
第18章 Song for me
【智side】
「サトシ…」
ショウが俺を呼んでる。
振り向いて欲しい、って。
どんなに追って来ても、アイツが俺にしたようにするのが一番いいんだ。
本気にしてない、って、そういう態度で流せばいい。
声が潤んで聞こえても。
この先恨まれても。
戻してやるんだ。
そう、思うのに。
「サトシ…こっち向いてよ…」
振り向くことが出来ない。
軽く言って、終わらせられない。
「サトシ」
こっちを見てる気配がするけど、俺は背中を丸めたまま。
自分の姿が丸見えなのはわかってるのに、床だけ視界に入れて、必死に隠れようとしてる。
そんな俺とショウを、カズがおろおろと首を振りながら見比べてるのがわかる。
早く諦めて立ち去って欲しい、と、そればかり思ってた。
なのに。
ゆっくりと近づく気配。
その辛抱強さは、まるで、保護した野良猫に愛を与え続ける人のようだ。
そっと、音を立てないように気遣いながら。
やがて、俺のすぐそばまでやって来て、静かにしゃがむ。
「サトシ、俺、あんたのことが好きだ」
やめろ。
「俺は、無かったことにしないから
サトシも、俺とのこと、無かったことにしないで…」
懇願するようにショウが言った。
「サトシ…」
ショウが俺を呼んでる。
振り向いて欲しい、って。
どんなに追って来ても、アイツが俺にしたようにするのが一番いいんだ。
本気にしてない、って、そういう態度で流せばいい。
声が潤んで聞こえても。
この先恨まれても。
戻してやるんだ。
そう、思うのに。
「サトシ…こっち向いてよ…」
振り向くことが出来ない。
軽く言って、終わらせられない。
「サトシ」
こっちを見てる気配がするけど、俺は背中を丸めたまま。
自分の姿が丸見えなのはわかってるのに、床だけ視界に入れて、必死に隠れようとしてる。
そんな俺とショウを、カズがおろおろと首を振りながら見比べてるのがわかる。
早く諦めて立ち去って欲しい、と、そればかり思ってた。
なのに。
ゆっくりと近づく気配。
その辛抱強さは、まるで、保護した野良猫に愛を与え続ける人のようだ。
そっと、音を立てないように気遣いながら。
やがて、俺のすぐそばまでやって来て、静かにしゃがむ。
「サトシ、俺、あんたのことが好きだ」
やめろ。
「俺は、無かったことにしないから
サトシも、俺とのこと、無かったことにしないで…」
懇願するようにショウが言った。