
夜の影
第18章 Song for me
【智side】
こいつはいつも、触れると温かくて。
単に体温が俺より高いだけなのかもしれないけど。
そのぬくもりが、太陽の光を浴びながら、ちゃんと育ってきた人間なんだろうな、って俺に思わせる。
もう、何もいらない、って、すっかり絶望してた俺に、懐かしいような、憧れみたいな気持ちを思い出させる。
もしかして、こいつと一緒に居たら、俺も健全に。
普通に近づけるんじゃないか、って。
何も知らない人が俺達を見たら。
ただの、普通の、仲の良い兄ちゃんズに見えるんじゃないかって。
ほんの少し、期待してしまうのかもしれない。
人生とか、未来とか、希望とか。
諦めてきた、そういうもの。
ショウ、お前には、ずっとそういう場所に居て欲しい。
「サトシ、俺ね、何にも持ってないんだ」
顔を上げられないから、胸から直接ショウの声を聴いた。
「まだ学生で収入もないし、
就職だって決まってないし
あんたの方が俺より大人で
きっと頼りないと思うけど…」
ショウが俺の耳のところで、また深呼吸する。
「ああ、好い匂い…
俺、あんたの匂い、大好きだ…」
ふふっ、って笑って。
また、言葉を続ける。
お前の方が良い匂いだよ。
干した布団みたいな。
日向ぼっこで眠ってる猫みたいな匂い。
「俺があんたにあげられるものって、
多分、気持ちしかないけど…
心しかないけど…
サトシ、あんたが好きなんだ」
俺を抱く腕に、ぎゅうっ、って力が入った。
こいつはいつも、触れると温かくて。
単に体温が俺より高いだけなのかもしれないけど。
そのぬくもりが、太陽の光を浴びながら、ちゃんと育ってきた人間なんだろうな、って俺に思わせる。
もう、何もいらない、って、すっかり絶望してた俺に、懐かしいような、憧れみたいな気持ちを思い出させる。
もしかして、こいつと一緒に居たら、俺も健全に。
普通に近づけるんじゃないか、って。
何も知らない人が俺達を見たら。
ただの、普通の、仲の良い兄ちゃんズに見えるんじゃないかって。
ほんの少し、期待してしまうのかもしれない。
人生とか、未来とか、希望とか。
諦めてきた、そういうもの。
ショウ、お前には、ずっとそういう場所に居て欲しい。
「サトシ、俺ね、何にも持ってないんだ」
顔を上げられないから、胸から直接ショウの声を聴いた。
「まだ学生で収入もないし、
就職だって決まってないし
あんたの方が俺より大人で
きっと頼りないと思うけど…」
ショウが俺の耳のところで、また深呼吸する。
「ああ、好い匂い…
俺、あんたの匂い、大好きだ…」
ふふっ、って笑って。
また、言葉を続ける。
お前の方が良い匂いだよ。
干した布団みたいな。
日向ぼっこで眠ってる猫みたいな匂い。
「俺があんたにあげられるものって、
多分、気持ちしかないけど…
心しかないけど…
サトシ、あんたが好きなんだ」
俺を抱く腕に、ぎゅうっ、って力が入った。
