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夜の影

第20章 光

【智side】

俺たちは、まだ世の中のフツーのことを何も知らなくて。

自分で自分のことを食わせることも出来なくて。

躰だけは大人と同じなのに。

社会とか、常識とかの、蚊帳の外に置かれるただの若ゾーで。


でも、それが今の自分たちだから、一つずつ、目の前にあることをやっていくしかない。


いつまで続くかなんて、想像もつかないけど。

俺はショウが大人になって行く姿を見たいし。

一緒にいる限り、俺のことは、ショウが見ててくれるだろう。



「ねぇ、サトシってどういう字を書くの?」



ショウが俺に向かって笑いかける。

目を細めて、いかにも嬉しそうに。



「ん~、知るに日」

「そっか、良い名前だね」

「そうかぁ?お前は?」

「俺は、羊に羽」

「ああ…かっけえな」



お前にふさわしい名前だよ。



「智」

「ん?」

「智」

「なんだよ、前向いて歩かないとつまづくぞ」

「呼びたいんだよ
ね、智も言って」


翔は隣にいる俺から目を離さないで歩いてる。



「はいはい、翔」

「ふふっ、うん
へへっ」

「翔、こういうの何て言うか知ってるか?」

「何?」

「バカップルって言うんだ」

「あははは!」



俺はムズムズと笑いそうになる唇に力を入れてから。

キャップを後ろ前にかぶり直して、空を見上げた。







FIN.



お読みいただき有難うございました(^-^)
このあと「おまけ」があります




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