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夜の影

第21章 おまけ 彼方へ

【智side】


「なぁ、やっぱ、送ろうか?」

「はぁ?何言ってんの?
まだ明るいし、俺、男なんだから大丈夫だよ」

「そうだけど…
お前、やっぱりタクシーで帰れよ」


ヒップポケットから財布を取り出したら、翔がスッっと硬い顔をした。


「智」


その口調に、ちょっとビビる。


「ハイ」

「俺のこと信じて。
他の人について行ったりしないし
智だけだから」

「ハイ」


逆らうと叱られそうだから、俺は小さく頭を下げながら、仕方なく財布をまた尻ポケットに戻す。


「お金は大事でしょ?
無駄遣いしちゃだめだよ?
俺、ケチは嫌いだけど、
お金を適当に扱うのはどうかと思う」

「てきとーにはしてないケド…」

「ん?」

「ハイ、お金は大事です」


何となく目を合わせられなくて、うつむき加減にしつつ返事をした。

ん~、なんかおかしいな…。

俺、ひょっとして、こいつの尻に敷かれるのか?

思いながら、チラッと視線を上げたら、翔はいかにも楽しそうに目で笑ってる。

それを見たら、こっちも口元が緩んでくる。





「なぁ」

「ん?」

「明日も会える?」


俺が言ったら、翔はまた、華が開くみたいにフワッと笑った。


「メールする!
じゃぁね!
二宮君と社長さんによろしくね!」

「おう」

「あと、ジョウシマさんにもね!」

「わかった」


手を振りながら笑顔で言って、翔は前を向いた。

その後ろ姿も、可愛くて。

こっそり後をつけたいような気もしたけど、カズが待ってるし、バレたら怒られそうだからやめる。

俺は翔に背中を向けて、店までの道を戻りながら、明日が来るのが楽しみだな、と思った。

どうしても顔が笑ってしまいそうになるのを我慢しながら。

早く明日になればいいのに、と思った。













おしまい。

そのうちseason2書きます。
お読みいただき有難うございました(^-^)





















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