夜の影
第23章 half brother
【和也side】
「詳しくは言えないんだけど……。
あの、僕のお母さんの弟、だから叔父さんなんだけど。
その人が今困ってるから助けたいんだ」
言い出すのに勇気が要った。
目の前にいる腹違いの兄は、写真で見るよりもずっと、なんというか中性的な感じで。テレビで見かける二人組のアイドル、なんとかキッズの片方を思い出す。
長めの髪がサラサラで、ツンとした鼻の形がお父さんに似ていた。
けど話し始めると思ったよりも声が低くて、あんまりはっきり喋らない。
怒っているのか機嫌が悪いのか判らなくて困る。
でもとにかく、何とかして頼みをきいてもらわないと。
「叔父さん、ノリユキ兄さんって呼んでるんだけど、自分で仕事をしててお店とかやってるの。
それで、だから、人を遣う立場なんだけど……今、十代のスタッフが必要らしくて。
あ、18歳になってないとダメなんだけど、アナタはもう18歳ですよね?」
「うん」
これを言ったら気分を害するだろうか。
緊張する。
「あの、失礼だったらごめんなさい。怒らないで聞いてください。お願いします」
「聞いてるから言いなよ。俺、見たいテレビあるし、食い終わったら帰るから」
「えっ! あ、はい」
大野さんは手づかみにしたカラアゲを口に入れたまま、つまらなそうに言う。
残りのカラアゲは何個ある?
ポテトは?
「早く」
僕はいつもノリユキ兄さんに言われることを思い出した。忙しい相手と話す時は、まず結論から。
「あっ、あのっ! アナタが家を継げるようにしますから、ノリユキ兄さんの仕事を手伝ってください」
大野さんの口の動きがピタリと止まって、上目遣いに僕を見た。
「僕は高校を卒業したらあの家は捨てます。アナタは長男だし家に戻って継げばいい。
そのかわり今回だけノリユキ兄さんを助けて」
「…………」
大野さんは無言のまま僕を見ていた。
「詳しくは言えないんだけど……。
あの、僕のお母さんの弟、だから叔父さんなんだけど。
その人が今困ってるから助けたいんだ」
言い出すのに勇気が要った。
目の前にいる腹違いの兄は、写真で見るよりもずっと、なんというか中性的な感じで。テレビで見かける二人組のアイドル、なんとかキッズの片方を思い出す。
長めの髪がサラサラで、ツンとした鼻の形がお父さんに似ていた。
けど話し始めると思ったよりも声が低くて、あんまりはっきり喋らない。
怒っているのか機嫌が悪いのか判らなくて困る。
でもとにかく、何とかして頼みをきいてもらわないと。
「叔父さん、ノリユキ兄さんって呼んでるんだけど、自分で仕事をしててお店とかやってるの。
それで、だから、人を遣う立場なんだけど……今、十代のスタッフが必要らしくて。
あ、18歳になってないとダメなんだけど、アナタはもう18歳ですよね?」
「うん」
これを言ったら気分を害するだろうか。
緊張する。
「あの、失礼だったらごめんなさい。怒らないで聞いてください。お願いします」
「聞いてるから言いなよ。俺、見たいテレビあるし、食い終わったら帰るから」
「えっ! あ、はい」
大野さんは手づかみにしたカラアゲを口に入れたまま、つまらなそうに言う。
残りのカラアゲは何個ある?
ポテトは?
「早く」
僕はいつもノリユキ兄さんに言われることを思い出した。忙しい相手と話す時は、まず結論から。
「あっ、あのっ! アナタが家を継げるようにしますから、ノリユキ兄さんの仕事を手伝ってください」
大野さんの口の動きがピタリと止まって、上目遣いに僕を見た。
「僕は高校を卒業したらあの家は捨てます。アナタは長男だし家に戻って継げばいい。
そのかわり今回だけノリユキ兄さんを助けて」
「…………」
大野さんは無言のまま僕を見ていた。